凶方位の影響は60年続くのか? 周期を計算して確かめる
「凶方位の影響は60年続く」という説を、九星気学の年盤の周期と干支の周期に分けて検算します。年盤は9年で一巡し、60年では元に戻りません。両方が揃うのは180年後です。
先に結論
「凶方位へ移動すると影響が60年続く」という説明を見かけます。この60年という数字を、暦の周期として検算しました。
- 九星気学の年盤は9年で一巡します。60年では元の配置に戻りません
- 60年で一巡するのは干支(十干十二支)です。九星とは別の周期です
- 九星と干支が両方そろって同じ組み合わせに戻るのは180年後です
つまり「60年」は、九星気学の年盤から出てくる数字ではありません。干支の一巡を指しているか、あるいは「一生ぶん」という比喩として使われていると考えるのが自然です。
そして、このサイトの判定エンジンは影響がどれだけ続くかを計算していません。日付ごとの吉凶しか出しません。この点は後半で正直に書きます。
年盤は9年で一巡する
年盤の中宮(真ん中に入る星)を、実際にこのサイトの計算で並べます。暦基準(古典)の年盤です。
| 年 | 2020 | 2021 | 2022 | 2023 | 2024 | 2025 | 2026 | 2027 | 2028 | 2029 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 中宮 | 七 | 六 | 五 | 四 | 三 | 二 | 一 | 九 | 八 | 七 |
2020年の七赤が、9年後の2029年にまた七赤に戻ります。そこから先も同じ並びの繰り返しです。
7,6,5,4,3,2,1,9,8, 7,6,5,4,3,2,1,9,8, 7,6,5,4,3,2,1
└──── 9年 ────┘└──── 9年 ────┘
中宮が決まれば八方位の星の配置も決まります。あなたの本命星から見た凶方位(本命殺・本命的殺)の並びは、9年周期で完全に繰り返します。
60年後は元に戻らない
では60年後はどうなるか。2000〜2020年と、その60年後の2060〜2080年を並べます。
| 開始年の中宮 | 並び | |
|---|---|---|
| 2000〜2020年 | 九 | 9,8,7,6,5,4,3,2,1,9,8,7,6,5,4,3,2,1,9,8,7 |
| 2060〜2080年 | 三 | 3,2,1,9,8,7,6,5,4,3,2,1,9,8,7,6,5,4,3,2,1 |
一致しません。60は9で割り切れない(60 ÷ 9 = 6 あまり 6)ので、当然の結果です。60年後の年盤は、元の配置から6つずれた場所にいます。
一方、9年後は完全に一致します。年盤の周期は9年です。
60年で一巡するのは干支
では60という数字はどこから来るのか。干支です。
十干(甲乙丙丁戊己庚辛壬癸/10種)と十二支(子丑寅卯…/12種)の組み合わせで、10と12の最小公倍数は60。だから干支は60年で一巡します。
実際に確かめます。
| 年 | 干支 | 2024年と一致するか |
|---|---|---|
| 2024 | 甲辰 | — |
| 2033(+9年) | 癸丑 | 一致しない |
| 2084(+60年) | 甲辰 | 一致する |
還暦(数え61歳で干支が一巡して生まれ年に戻る)が60年なのも同じ理由です。
九星気学の年盤と干支は、別々の周期で回っています。「60年」を九星の話として説明されているなら、それは周期の取り違えです。
両方そろうのは180年後
九星(9年)と干支(60年)が両方とも元に戻るのは、9と60の最小公倍数である180年後です。
計算で確かめました。2024年は「三碧・甲辰」の年ですが、この組み合わせが次に来るのは2204年です。100年後でも150年後でもありません。
九星の周期 9年
干支の周期 60年
両方そろう 180年 ← 最小公倍数
人が生きているあいだに同じ盤は二度と来ません。「前回と同じ条件で確かめる」ということが原理的にできない、という意味でもあります。
木星黄経で見ると9年周期ですらない
このサイトには年盤の出し方が2通りあります。暦基準(古典)と、木星の黄経から出す物理モデルです。設定バーで切り替えられます。
物理モデルのほうを同じように並べると、こうなります。
2020年から: 2,1,9,9,8,7,7,6,5,5,4,3,2,1,9,9,8,7,7,6,5,4,4,3,2
└┘ └┘ └┘ └┘ └┘
同じ星が2年続く箇所があります。木星の公転周期が約11.86年で、12年ちょうどではないためです。1年あたり約0.14年ぶんずつ暦とずれていき、およそ7年に一度、同じ星が2年連続します。
つまり物理モデルでは、9年周期という前提そのものが成立しません。「何年で戻るか」は、どちらの盤を採るかで変わります。
このサイトが2通り持っているのは、どちらが正しいかを決めないためです。既定は暦基準です。
このサイトは「影響が何年続くか」を計算していません
正直に書きます。Cloud Paletteの判定エンジンは、ある日付の吉凶しか出しません。
- 「この日にこの方位へ動くと、年盤・月盤・日盤でどう出るか」→ 計算します
- 「その影響が何年続くか」→ 計算していません
影響の持続年数は、流派によって「4倍の期間」「6倍の期間」「一生」などさまざまに言われますが、どれも検証できる形の主張になっていません。何をもって影響とするか、いつ終わったと判定するかが定まらないためです。
定まらないものを数字で出すと、根拠のある数字と見分けがつかなくなります。だから出していません。
では60年という説明をどう受け取るか
3通りの読み方ができます。
1. 干支の一巡を指している。移動した年の干支が戻るまで、という意味なら60年です。九星の話ではありません。
2. 「一生ぶん」の比喩。還暦が人生の一区切りとされてきた文化を踏まえた言い方。年数そのものより「長く残る」という強調と読めます。
3. 出典の取り違え。九星の年盤の周期(9年)と干支の周期(60年)が、伝わる過程で混ざった可能性。
どれであっても、九星気学の年盤を根拠に「60年」と言うことはできません。年盤は9年で戻ります。
実際に確認するには
自分の本命星の凶方位が9年でどう巡るかは、引越し時期を分析するで全期間を並べて見られます。年盤の並びが9年で繰り返していることが、そのまま画面で確認できます。
すでに凶方位へ移動してしまった場合の考え方は、凶方位へ移動してしまった場合に書きました。運営者自身の移動(京都→名古屋)を計算した記録です。
「あとから吉方位へ移れば相殺されるのか」という問いは、75日後の吉方位への移動で、最初の凶方位は相殺される?で別に扱っています。
注記
この記事の年盤・干支の数字は、すべてこのサイトの計算エンジンで実際に算出したものです。年盤はgetClassicalYearStar(暦基準)とgetYearStar(木星黄経)、干支はlunar-javascriptによります。手で表を引き写したものではありません。
周期の計算(9年・60年・180年)は暦の構造から決まる事実です。一方、「凶方位に影響がある」かどうかそのものは、このサイトでは実証されたこととして扱っていません。統計的な検証を試みた結果は方位に統計的な根拠はあるのかにまとめてあります。
周期の話と、効果の有無の話は別です。この記事で確かめたのは前者だけです。