歴史と背景4

流派はどれくらいあるのか。日本の気学と、世界の方位術を数えてみる

九星気学の流派は数え切れないほどあり、世界に目を広げると風水・奇門遁甲・ヴァーストゥなど文明ごとに別の体系があります。なぜ正確に数えられないのか、主要な系統はどれか、流派が違うと何が変わるのかを整理します。

先に結論

正確な数は、誰にも数えられません

流派には登録制度がなく、名乗るのに免許も要りません。師弟の分派は今も続いていて、数えた瞬間に増えます。それでも大きな系統で区切ると、日本の気学だけで複数、世界では文明ごとに独立した体系が並びます。

この記事で押さえたいのは数そのものではなく、「流派が違うと、どこの答えが変わるのか」です。そこが分かると、サイトや本ごとに判定が食い違ったときに、どちらが壊れているのかを慌てて探さずに済みます。

なぜ数えられないのか

理由は 3 つあります。

  1. 登録制度がない。国家資格でも業界団体の統一名簿でもなく、名乗った人の数だけ流派がある
  2. 分派が続いている九星気学の歴史で書いた通り、現在の気学は大正 13 年に園田真次郎が名づけたもので、その弟子筋からさらに多くの会派が分かれた
  3. 境界が曖昧。同じ名前で規則が違う、違う名前で規則がほぼ同じ、という例が珍しくない

「世界に流派はいくつあるか」への正直な答えは、大きな系統なら十数、流派単位なら数百とも言われるが、確かめようがない、です。

日本の中の系統

系統何を見るか補足
気学(園田系の諸会派)九星の年盤・月盤・日盤と方位現在「九星気学」と呼ばれるものの主流
方鑑学の系統九星と方位江戸期の松浦琴鶴らの流れ。気学の母体
暦の系統(高島易断など)暦注・易方位専門ではなく、暦の出版を通じて広まった
算命学・四柱推命生年月日時と時期方位ではなく時期を見る。天中殺はこちら側

同じ「九星」を使う流派の間でも、本命星の求め方、年月の境目、何盤まで見るか、距離の扱いが割れます。どこが割れるかの一覧は九星気学の歴史に書きました。

世界の体系

方位や場所の吉凶を扱う体系は、日本の外にもあります。互いに独立して生まれ、規則に互換性はありません

地域体系主に何を見るか
中国風水(巒頭派・理気派)土地と建物。理気派の中に八宅派・玄空飛星派などの分派
中国奇門遁甲時刻ごとの方位盤。短期の行動の向き
中国択日(日選び)行事の日取り
インドヴァーストゥ・シャーストラ建物の設計と向き
ヨーロッパ・イスラム圏ジオマンシー(土占い)方位そのものではなく、土地や問いの吉凶
現代の欧米アストロカートグラフィー出生図と土地の対応。20 世紀後半に考案

並べて分かるのは、「方位の吉凶」は一枚岩の伝統ではないということです。風水は場所を見て、九星気学は人と移動を見て、奇門遁甲は時刻を見る。問いの立て方からして違います

そして、どの体系が正しいかを決める上位の審判はどこにもありません。体系同士は互いを参照せずに成立していて、答えが食い違っても、どちらかが反則をしているわけではありません。

流派が違うと、どこが変わるか

引越しの実務で効いてくる違いは、だいたい次の 4 か所に集約されます。

  1. 本命星が変わる(求め方と年の境目の違い)
  2. 方位の吉凶が変わる(何盤を重く見るか、吉神・凶神の採用範囲)
  3. 時期の禁止が変わる(天中殺を使うか、どの暦注を使うか)
  4. そもそも見る対象が変わる(人か、場所か、時刻か)

別のサイトや鑑定と答えが食い違ったときは、この 4 つのどこで違っているのかを確かめるのが早道です。多くの場合、計算間違いではなく採っている規則が違います。

Cloud Palette はどの立場か

このサイトは、方位を九星気学の三盤(古典の記述を基準にした算出)、時期を六曜・天赦日・一粒万倍日・土用・天中殺で見ています。風水・奇門遁甲・ヴァーストゥは使っていません。どの規則を採っているかは使い方ガイドに明示しています。

方位と時期を一つの画面に並べるのは異なる体系を組み合わせたサイト独自のモデルであり、すべての流派に共通する作法ではありません。学んでいる流派や相談している専門家がいる場合は、そちらの規則を優先してください。

注記

九星気学・風水・奇門遁甲などは伝統的な考え方であり、効果が科学的に確認されたものではありません。Cloud Palette は計算条件を整理する道具で、将来の出来事を保証するものではありません。方位や時期の判定とは別に、家賃、災害リスク、契約条件、通勤時間、医療・教育環境、家族の合意を必ず確認してください。

記事の内容について、自分の場合はどうだったかを書いてください。実際に動いたあとどうだったかまで書けると、同じことで迷っている人の判断材料になります。