歴史と背景5

天中殺という言葉の来歴と、期間中にしてはいけないと言われること

天中殺は空亡の言い換えとして高尾流算命学で生まれた語です。六十干支から2支が余る算出の仕組み、四柱推命との解釈の違い、引越しや結婚を避けるべきとされる根拠がどこまで遡れるのかを整理します。

先に結論

天中殺は、古い占術書に出てくる言葉ではありません

もとになっている概念は空亡(くうぼう)で、こちらは六十干支の仕組みから素直に出てきます。Wikipedia の「天中殺」は、高尾義政が高尾流算命学を創始した際に空亡を「天中殺」と言い換えたと記しています。弟子の神煕玲はさらに「天冲殺」と字を変えています。

つまり呼び名は比較的新しく、算出の仕組みだけが古い。ここが分かると、「天中殺中にしてはいけない」とされる行為の一覧が体系ごとにばらつく理由も見えてきます。

算出の仕組みは、余りが出るだけ

天中殺・空亡の出し方には神秘的な要素がありません。十干が10個、十二支が12個。数が合わないので2つ余る、というだけです。

甲子から順に十干と十二支を組み合わせていくと、10個で十干を使い切ります。このとき組み合う干を持たない十二支が2つ残ります。

旬(10個のまとまり)干を持たずに余る2支
甲子から癸酉まで戌・亥
甲戌から癸未まで申・酉
甲申から癸巳まで午・未
甲午から癸卯まで辰・巳
甲辰から癸丑まで寅・卯
甲寅から癸亥まで子・丑

この余った2支が、その旬における空亡です。六十干支は6つの旬に分かれるので、天中殺も6種類になります。生年月日の干支から自分の属する旬を出し、余る2支を見れば決まります。

計算に解釈は入りません。割り切れない余りを、意味のある期間として扱っているというのが、仕組みの側から見た姿です。

同じ算出、違う解釈

算出が同じでも、そこに何を読むかは体系で分かれます。Wikipedia は、地支と時間帯の出し方は同じで応用が異なる、として次のように整理しています。

体系呼び名どう位置づけるか
算命学天中殺限定されない気、無限の気であり、物事は意に反して動く気
四柱推命空亡あってなきが如し
高尾流の一部天冲殺表記を変えたもの

「意に反して動く」と「あってなきが如し」は、同じことを言っているわけではありません。前者は結果が思惑からずれるという話、後者は作用が無いに等しいという話です。

同じ2支から、方向の違う読みが出ています。どちらが正しいかを決める上位の基準は、体系の外にはありません。

「してはいけない」とされる行為

天中殺の期間に避けるべきとして、一般に挙げられるのは次のようなものです。

  • 結婚
  • 引越し・転居
  • 転職・独立・起業
  • 家や土地の購入
  • 新しい事業の開始

共通しているのは、やり直しにコストがかかる、後戻りしにくい決定です。ここは押さえておく価値があります。「毎日の買い物を避けよ」とは言われません。

そのうえで、出どころについては正直に書きます。この一覧が、いつどの文献で確定したのかを一次資料で示すのは難しいのが実情です。天中殺という語自体が近代のもので、行為の一覧は実務書や鑑定の慣行として広まってきました。体系によって、また同じ体系でも書き手によって、挙がる項目と重さが違います。

古典にこう書いてある」と示せる形にはなっていない、と理解しておくのが正確です。

なぜそういう禁止が検証されないまま残るのかは、「してはいけない」は誰が決めたのかで仕組みの側から扱いました。

期間の長さを確認しておく

実務上、見落とされやすいのが期間の長さです。

単位長さ12年・12か月あたりの割合
日天中殺2日12日のうち2日
月天中殺2か月12か月のうち2か月
年天中殺2年12年のうち2年

年天中殺を厳格に避けると、12年のうち2年は動けません。これは6分の1です。賃貸の更新、転勤、子どもの進学、家族の介護といった現実の予定が、この2年に重なることは珍しくありません。

Cloud Palette の初期設定は「厳格」で年天中殺を含みます。そのため、目的地をどう変えても移転不可の表示が続く期間が生じます。不具合ではありませんが、唯一の正解でもありません

Cloud Palette では5通りから選べる

解釈が割れているものを一つに固定しないため、扱いを選べるようにしています。

設定サイト内での扱い
厳格(年・月・日)いずれかが空亡なら移転不可
年天中殺は除く月・日の空亡だけを移転不可にする
日のみ日の空亡だけを移転不可にする
弱める(禁止しない)吉も凶も弱く見積もり、移転は禁止しない
使わない天中殺を外し、九星気学の方位だけで見る

物件を方位で探すの「天中殺の扱い」で切り替えると、引越し時期を分析するも同じ設定を読みます。引越しの日取りを選ぶでは、日取りの条件として画面内で選びます。

転勤など本人の意思で避けにくい移動として登録した場合は、禁止せずに影響を弱める扱いもあります。

選び方の目安は次の通りです。

  1. 相談している専門家や学んでいる流派があれば、その規則に合わせる
  2. 九星気学だけを見たいなら「使わない」
  3. 禁止ではなく作用の弱まりと考えるなら「弱める」
  4. 判断がつかないなら、初期設定の「厳格」を比較材料として使う
  5. 候補同士を比較している途中で設定を変えない

5番目が実際にはいちばん大事です。途中で設定を変えると、前に見た候補と後から見た候補を同じ条件で比べられなくなります。

方位とは別のものだという点

天中殺はいつ動くか、吉方位はどちらへ動くかの話です。反対語ではなく、同じ引越しについて両方が同時に存在します。この整理は天中殺と吉方位は何が違うかに詳しく書きました。

Cloud Palette が両方を一つの画面に出しているのは、異なる体系を組み合わせたサイト独自のモデルであり、すべての流派に共通する作法ではありません。

注記

九星気学・算命学・四柱推命は伝統的な占術上の考え方であり、効果が科学的に確認されたものではありません。Cloud Palette は計算条件を整理する道具で、将来の出来事を保証するものではありません。方位や時期の判定とは別に、家賃、災害リスク、契約条件、通勤時間、医療・教育環境、家族の合意を必ず確認してください。

記事の内容について、自分の場合はどうだったかを書いてください。実際に動いたあとどうだったかまで書けると、同じことで迷っている人の判断材料になります。