天冲殺・天中殺・空亡・大殺界は同じものか。名前と流派の対応を整理する
同じ2支から出るものを、四柱推命は空亡、算命学は天中殺、その一部は天冲殺と呼びます。六星占術の大殺界だけは算出そのものが別系統です。一般に何が言われているか、どこが一致してどこが割れるか、Cloud Paletteがどれを実装しているかを分けて書きます。
先に結論
- 空亡・天中殺・天冲殺は、算出が同じです。六十干支から余る 2 支で、呼び名と読み方が体系ごとに違うだけ
- 大殺界だけは別系統です。六星占術の独自の運命星と 12 年周期から出るもので、干支の余りではありません。期間の長さも違います(天中殺は年で 2 年、大殺界は 3 年)
- 「してはいけない」とされる行為は体系をまたいでよく似ています。割れるのは「どこまで見るか」と「どれくらい強く効くか」
- Cloud Palette が実装しているのは空亡ベースの天中殺だけです。大殺界は入っていません。効かせ方は 5 通りから選べます
名前の対応
同じものを指しているのはどれか、という表です。
| 体系 | 呼び名 | 算出 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| 四柱推命 | 空亡 | 六十干支の余り 2 支 | あってなきが如し |
| 高尾流算命学 | 天中殺 | 同じ | 物事が意に反して動く気 |
| 高尾流の一部 | 天冲殺 | 同じ | 表記を変えたもの |
| 六星占術 | 大殺界 | 別(運命星と 12 周期) | 陰影・停止・減退の 3 年間 |
上の 3 つは同じ計算から出ます。生年月日の日柱の干支を六十干支に当てて、十干(10 個)を十二支(12 個)に配ると 2 つ余る。その 2 支が空亡です。名前が違うだけで、あなたの天中殺の年月が体系によって変わることはありません。
天冲殺は、高尾義政の弟子である神煕玲が字を変えたものと説明されます。「冲」に変えたぶん意味が変わったのかというと、算出は同じです。
由来と算出の詳しい話は天中殺という言葉の来歴に書いています。
大殺界だけが別なのはなぜか
六星占術は、生年月日から運命星(土星人・金星人・火星人・天王星人・木星人・水星人の 6 つと ± )を出し、そこから 12 年の周期を当てる体系です。干支の余りを使いません。
そのため、
- 算出の入力が違う(干支ではなく運命星と周期)
- 期間の長さが違う(大殺界は 3 年、年天中殺は 2 年)
- 年がずれる
ということが起こります。「天中殺は終わったのに大殺界はまだ」という状態は普通にあります。片方が終わったからもう片方も終わった、とは言えません。
同じ「動かないほうがよい期間」という言い方をするので混同されやすいところです。別の体系の別の計算だと分けて扱ってください。
一般に言われていること
体系をまたいで、避けるべきとされる行為はよく似ています。
- 結婚
- 引越し・転居
- 転職・独立・起業
- 家や土地の購入
- 新しい事業の開始
共通しているのは、やり直しにコストがかかる、後戻りしにくい決定です。「毎日の買い物を避けよ」とは言われません。
一方で、この一覧がいつどの文献で確定したのかを一次資料で示すのは難しいのが実情です。天中殺という語自体が近代のもので、行為の一覧は実務書や鑑定の慣行として広まってきました。「古典にこう書いてある」と示せる形にはなっていません。
割れるのはどこか
一致するのは「何を避けるか」で、割れるのは効かせ方です。実際に食い違うのは次の 4 点です。
1. どこまで見るか
空亡は大運・年・月・日のどの単位でも出ます。どこまでを禁忌に数えるかは流派で違います。
年まで見ると 2 年間まるごと塞がります。日だけを見る立場なら、塞がるのは 60 日に 2 日です。同じ人の同じ年が、流派によって「動けない」にも「問題なし」にもなります。
2. 禁止なのか、弱まるだけなのか
中国の四柱推命における空亡の本来の意味は「その時期は吉も凶も力が弱い」で、禁止則ではありません。「2 年間なにも始めるな」という強い解釈は、日本で広まった天中殺・大殺界の系統に由来します。
「あってなきが如し」と「意に反して動く」は、同じことを言っていません。前者は作用が無いに等しいという話、後者は結果が思惑からずれるという話です。同じ 2 支から、方向の違う読みが出ています。
3. 自分の意思かどうか
多くの流派が、自分の意思による移動と他動的な移動(転勤など、やむを得ないもの)を区別し、後者は影響を受けないとします。ただしその線引きを決める計算はありません。干支の計算に「動機」を入れる欄が無いからです。
4. 方位と重ねるかどうか
九星気学に天中殺という概念はありません。気学が扱うのは五黄殺・暗剣殺・歳破・本命殺・月命殺・的殺などです。天中殺は算命学の用語で、別系統です。
「天中殺なら方位に関係なく動けない」という扱いは、2 つの体系を重ねた合成であって、気学の作法ではありません。このサイトもそう合成していますが、それは選べる設定のひとつという位置づけにしてあります。
Cloud Palette がどうしているか
実装しているのは空亡ベースの天中殺だけです。大殺界は入っていません。
効かせ方を 5 通りから選べるようにしています。既定は最も慎重な「厳格」です。
| 設定 | 何をするか | どの立場か |
|---|---|---|
| 厳格(年・月・日) | 年・月・日のいずれかが空亡なら移転不可 | 日本で広まった天中殺・大殺界に近い |
| 年天中殺は除く | 年は外し、月・日の空亡だけを不可に | 年まで見ない流派 |
| 日のみ | 日の空亡だけを不可に | 判定基準が日柱なので日単位だけ取る立場 |
| 弱める(禁止しない) | 不可にせず、その期間の吉凶を弱める。吉方位の効きも小さくする | 四柱推命の本来の意味(吉も凶も力が弱い) |
| 使わない | 天中殺を見ず、九星気学の方位だけで判断 | 系統を混ぜない立場 |
どれが正しいかを決める上位の基準は、体系の外にはありません。だから 1 つに固定せず、根拠を添えて選べる形にしています。設定は日取りの画面から変えられ、変えると候補日の数がその場で変わります。
「弱める」を選ぶと吉方位の効きも小さくなることに注意してください。凶だけ弱めるのは、本来の解釈から都合よく半分だけ取ることになります。
自分の場合を確かめる
生年月日を入れると、あなたの空亡の 2 支と、それが年・月・日のどこに当たっているかが出ます。設定を切り替えて、動ける日がどれだけ変わるかを見比べてください。
注記
名前の対応はWikipedia の「天中殺」の記述に沿っています。六星占術については、干支の余りを使わない別系統であるという点にとどめ、内部の判定方法には踏み込んでいません。このサイトが実装していない体系について、細かい断定は避けます。