歴史と背景 約6分

風水は、引越しの方角ではなく住まいの中の向きを見るものなのか

八宅風水の四吉方・四凶方は、主に住まいの中の向き(家が背にする向きで決まる宅卦、玄関・寝室・寝る向き・机・コンロ)に当てる考え方とされ、どこへ引越すかを決めるための体系ではありません。宅卦の決まり方と東四宅・西四宅の分け方、そしてこのサイトが八宅を移動の方位に並べているのは転用であることを書きます。

風水は、引越しの方角ではなく住まいの中の向きを見るものなのか — 記事の要点を図にしたもの

先に結論

おおむねそのとおりです。八宅風水の四吉方・四凶方は、主に住まいの中の向きに当てる考え方とされ、どの方角へ引越すかを決めるための体系ではありません。

  • 八宅では、人の卦(本命卦)と家の卦(宅卦)の 2 つを見るとされます。宅卦は、家が背にしている向き(坐)で決まると説明されます
  • 吉凶の札(生気・天医・延年・伏位/絶命・五鬼・六殺・禍害)を当てる先は、玄関・寝室・寝るときの頭の向き・机に向かう向き・コンロの位置など、家の中のことが中心です
  • 引越しの方位と時期を見るのは、このサイトでは九星気学(年盤・月盤・日盤)です
  • 本命卦の吉方位を旅行や移転の向きに当てる説明も、現代の解説には見られます。このサイトのシミュレータが移動の方位に八宅の札を並べているのも、住まいの中の向きからの転用です。判定には混ぜていません

八宅は、何の向きを見る考え方なのか

八宅は、名前の「宅」のとおり、住まいを 8 通りに分けて見る考え方とされます。家そのものに卦を 1 つ割り当て(宅卦)、住む人にも卦を 1 つ割り当て(本命卦)、その 2 つを家の中の 8 つの方位と組み合わせて読む、というのが一般的な説明です。

風水には、土地や山・水の形を読む巒頭と、方位と暦を読む理気の 2 つの系統があるとされ、八宅は理気の側に入ります。2 つの違いと「風水」という言葉の来歴は風水はどこから来たのかに分けて書きました。ここでは八宅だけを扱います。

本命卦の出し方(生年と性別から 1 つの卦を出す)と、本命卦ごとの 8 方位の表は風水(八宅)と九星気学は何が違うのかに載せています。

家の卦(宅卦)は、どうやって決まるのか

宅卦は、家が背にしている向き(坐)で決まるとされます。正面が開いている側を「向」、その反対の背の側を「坐」と呼び、坐の方位に当たる卦がその家の卦になる、という説明です。

坐(背にしている向き)向(正面の向き)宅卦組
北南坎東四宅
南北離東四宅
東西震東四宅
南東北西巽東四宅
北西南東乾西四宅
南西北東坤西四宅
北東南西艮西四宅
西東兌西四宅

たとえば北を背にして南に開いた家(坐北向南)は坎宅、西を背にして東に開いた家は兌宅です。8 つの宅卦は、坎・離・震・巽の東四宅と、乾・坤・艮・兌の西四宅に分けられます。

何をもって「背」とするかは、はっきりしない場合があります。一戸建てなら建物の正面で決めやすい一方、集合住宅では建物全体の向き・玄関の向き・窓やベランダの向きのどれを取るかで、説明が分かれます。

家の中では、どこに当てるのか

家の中心から見て 8 つの方位に区画を分け、その区画と、住む人が体を向ける向きの両方に吉凶の札を当てる、とされます。方位は 45 度ずつに切るのが一般的な説明です。

よく挙げられる当て先は次のとおりです。

  • 玄関(出入口の位置と向き)
  • 寝室の位置と、寝るときの頭の向き
  • 机に向かったときの向き
  • コンロ(もとはかまど)。凶の方位に置き、焚き口を吉の方位へ向ける、という説明がよく見られます

どれも、すでに住んでいる家の中で、何をどこに置き、どちらを向くかの話です。どの街へ移るかは、ここには出てきません。

家の中心の取り方、「置く場所」と「向く向き」の違い、家族で本命卦が違うときの扱いは、風水(八宅)では、部屋の中のどこに何を置くとされるのかに実例つきで書きました。

人の卦と家の卦は、どう組み合わせるのか

東四命の人には東四宅、西四命の人には西四宅が合う、とするのが八宅の基本的な説明です。本命卦の組(東四命・西四命)と宅卦の組(東四宅・西四宅)が同じ側にそろう家を「合う」と見ます。

この組み合わせには、はっきりした構造があります。東四宅の坐は北・南・東・南東の 4 方位で、これは東四命の人の吉の 4 方位とちょうど同じ集合です。西四宅の坐(北西・南西・北東・西)も、西四命の吉の 4 方位と一致します。言い換えると、その人の吉方位のどれかを背にした家が、その人の組の家になります。

家と人の組が合わないときは、寝室の位置や机の向きのように家の中で動かせるものを本命卦の吉方位に合わせる、という説明がよく見られます。ここでも話は家の中にとどまります。

では、引越しの方角を見るのは何なのか

引越しの方位と時期を見るのは、このサイトでは九星気学です。出発地から見た移動の方位を、年盤・月盤・日盤という時間とともに回る盤に照らして判定します。

八宅の札は本命卦が決まれば一生変わらず、年や月で動きません。「いつ動くか」に答える仕組みを持たないので、八宅だけで引越しの日取りを選ぶことはできません。九星気学の側の早見は本命星と吉方位を調べるにあります。

本命卦の吉方位を、移転や旅行の向きに当てる説明はあるのか

あります。現代の解説には、本命卦の四吉方を旅行や移転、出かける先の方角に当てる、とするものも見られます。

ただ、八宅の説明の中心は上に書いたとおり住まいの中の向きで、移動の方位に当てるのはそこから広げた使い方と見るのが自然です。どちらが正しいかを、このサイトが決めることはできません。ここでは「八宅がもともと向けている対象は家の中」という点だけを区別しておきます。

このサイトの「風水(八宅)でも見る」は、何を出しているのか

引越しをシミュレートするの「風水(八宅)でも見る」は、移動の方位に八宅の札を並べたものです。出発地から行き先への方位角を 45 度ずつの 8 方位に落とし、その方位に付く本命卦の遊星(生気・天医など)を、九星気学の判定の横に出しています。

これは、住まいの中の向きに当てる八宅を、移動の向きに当てた転用です。このサイトは宅卦を出していません。物件のデータに建物の坐向(背と正面の向き)が無いためで、「この家は何宅か」という八宅本来の問いには答えられません。

そのうえで、扱いは次のように決めています。

  • 併記は押したときだけ出ます。既定では出しません
  • 出しても九星気学の判定には混ぜていません。段階・並び順・色は変わらず、八宅の札は参考として横に並ぶだけです
  • 風水(八宅)で自分の吉方位を調べるは、本命卦と 8 方位の早見です。頁にも、八宅は住まいの向きとその人の本命卦の組み合わせを見る考え方で、「引越しの方位を測る九星気学とは、そもそも見ている対象が違います」と書いてあります
  • 九星気学の既定(古典盤)は 8 方位を四正 30 度・四隅 60 度で切り、八宅は 45 度ずつで切るので、同じ方位角でも方位名が変わることがあります。方位角 110 度は気学で南東、八宅では東です

移動の方位に並べた八宅の札をどう受け取るかは、読む人に委ねます。住まいの中で使うなら、同じ本命卦の表を玄関や寝る向きに当てるのが、八宅の説明に沿った使い方です。

注記

風水・九星気学は伝統的な占術上の考え方であり、効果が科学的に確認されたものではありません。宅卦の決め方、坐向の取り方、家の中での当て先には流派差があり、ここに書いたのは八宅で一般に説明される内容であって、公的な基準ではありません。Cloud Palette は計算条件を整理する道具で、将来の出来事を保証するものではありません。方位の判定とは別に、家賃、災害リスク、契約条件、通勤時間、医療・教育環境、家族の合意を必ず確認してください。

自分の場合はどうかを、同じ基準で確かめる

この記事で説明している判定は、サイト内の道具と同じ計算で出しています。生年月日と今住んでいる場所を一度入れれば、どの道具も同じ設定を読みます。

判定の考え方と出典、何を保証していないかはこのサイトについてに書いています。

記事の内容について、自分の場合はどうだったかを書いてください。実際に動いたあとどうだったかまで書けると、同じことで迷っている人の判断材料になります。