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地磁気が動いたら、方位盤は作り直すべきなのか。本命星と地磁気の関係を確かめる

「北極の磁気が動いたので方位盤を作り直さないといけない」「本命星は生まれたときに受けた磁気で決まる」。ある動画で語られた話を要素ごとに分け、国土地理院・NOAA の値と地磁気モデルの計算で確かめられる事実と、九星気学の解釈とを切り分けます。

地磁気が動いたら、方位盤は作り直すべきなのか。本命星と地磁気の関係を確かめる — 記事の要点を図にしたもの

先に結論

方位盤のどこにどの星が入るかは暦の計算で決まるので、地磁気が動いても盤そのものを作り直す必要はありません。磁極が動いて変わるのは、方位磁針で盤を地面に合わせたときの向きだけです。このサイトは判定を真北で行っているので、その影響も受けません。

  • 北の磁極は 1950 年からの 75 年で約 2,000km動きました。ただし日本で方位に効く偏角の変化は、東京で約 1.6 度です
  • その 1.6 度で別の八方位に移る方位角は、東京で約 3.6% です
  • 本命星は、立春を区切りに 9 年で一巡する数の並びから決まります。生まれたときの地磁気を測って決める仕組みではありません
  • 「五黄土星の年に戦争が多い」は、当たる年と外れる年を並べないと確かめたことになりません
  • 電磁波の健康影響の話は、九星気学とは別の問題です。公的機関の見解を末尾に置きました

この記事は動画を否定するためのものではありません。確かめられる部分と、話し手の解釈の部分を、読む側が混ぜずに受け取れるようにするためのものです。

動画で語られたこと

取り上げるのは、YouTube の家相と磁気について語る対談動画(2026 年 10 月公開、約 17 分)です。対談の形で進みます。

以下は自動生成の字幕をもとにした要約で、言い回しは整えています。

段主張の要点
家相50 年ほど前までは、汲み取り便所や井戸があったので水回りの位置や風の回りが健康を左右した。上下水道の整った今は守る必要がない
本命星と磁気母親の体内で細胞ができるあいだに受けた「磁気」が、体質の 9 割以上を決める。生まれ年の星(例: 1950 年生まれは五黄土星)がそれにあたる
方位の吉凶毎年・毎月巡る磁気と、生まれ持った体質との相性が、吉方位・凶方位として現れる
実測の話学生時代に車で全国を回り、体細胞の電気を測った。40km 以上離れると反応が出て、暗剣殺の方位では乱れた
磁極の移動北極の磁気が大きく動いた(字幕では「60 度近く」)。昔の暦の方位盤はもう合わないので、作り直す必要がある
五黄土星五黄土星の年には争いや戦争が起きやすい。第一次世界大戦も朝鮮戦争もそうだった
電磁波いまの家相で大事なのは電磁波。5G のアンテナ、ドライヤーや電気マットの交流に気をつける。浴びたら水や風呂で流せる

動画の題には「家の北東」とありますが、字幕を通して読むと、北東(鬼門)そのものの説明はほとんどありません。中心は磁気と本命星、そして電磁波の話です。この記事もそこを扱います。

北の磁極は、どれくらい動いたのか

大きく動いたのは事実です。ただし、日本で方位を測るときに効く「偏角」の変化は、数度にとどまります。

方位磁針が指す北(磁北)と、地図の北(真北)は一致しません。そのずれが偏角です。偏角は場所ごとに違い、年ごとにも少しずつ変わります。これを永年変化と呼びます。

北の磁極(磁力線が真下を向く地点)は、1900 年ごろにはカナダ北部にありました。米国海洋大気庁(NOAA)の Wandering of the Geomagnetic Poles によれば、2025 年の位置は北緯 85.76 度・東経 139.30 度で、シベリア側に移っています。2025〜2026 年の平均の速さは年 36km です。

国際標準の地磁気モデル(IGRF-14)で計算すると、1950 年から 2025 年までに北の磁極が動いた距離は約 2,000km、地球の中心から見た角度で約 18 度でした。

一方、日本国内の偏角はこう変わっています。

都市1950 年2025 年75 年の変化別の八方位に移る割合
札幌−8.6度−9.9度1.3度2.9%
東京−6.3度−7.9度1.6度3.6%
那覇−2.9度−5.8度2.9度6.4%

値は IGRF-14 による各年 7 月 1 日の計算値です。負の値は、磁北が真北より西を指すことを意味します。国土地理院も、全国平均で 1970 年から 2020 年の 50 年間に、西向きの偏角が約 1.4 度大きくなったとしています。

右の列は、方位角が一様に散らばっているとして、偏角の変化ぶんだけ境目を動かしたときに隣の方位へ移る割合です。境目が 8 本あるので「変化 ÷ 45 度」になります。出し方は 風水はどこから来たのか に書きました。

動画の「60 度近く」が何の角度を指しているのかは、字幕からは分かりません。ただ、日本で方位の吉凶に関係しうる量(偏角)は、この 75 年で 1〜3 度ほどの変化です。

方位盤は作り直さないといけないのか

盤そのものは作り直す必要がありません。変わるのは、盤を地面に置くときの「北」の合わせ方だけです。

九星気学の方位盤は、2 つの層でできています。

  1. どの星がどの宮に入るか。年盤・月盤・日盤の配置は、暦の上の規則(洛書の数の並びと、それを回す順序)で決まります。地磁気は入っていません
  2. その盤をどちらに向けて地図に重ねるか。ここで初めて「北」が要ります

磁極が動いて変わるのは 2 だけです。1 の配置は、昔の暦でも今の暦でも同じ規則から出ます。暦の本に載っている年盤が、地磁気の変化で古くなることはありません。数の並びの来歴は なぜ星は9つで、なぜあの並びなのか にまとめました。

2 についても、真北で重ねるなら磁極の移動は関係ありません。真北は地球の自転軸で決まり、人の一生の長さでは動かないからです。方位磁針で重ねる場合は、上の表のとおり、昔と今でずれが 1〜3 度変わっています。

このサイトは判定を常に真北で行います。磁北は判定に使わず、「方位磁針で測るとこれだけずれる」という注意として表示しています。理由は 2 つです。

  • 本命星と吉方位を調べる頁は全国向けで、読む人ごとに違う偏角を持てません。判定を磁北にすると、記事と道具の答えが食い違い続けます
  • 偏角は年ごとに動きます。基準が動くと、同じ引越しの評価が年をまたぐだけで変わってしまいます

その意味では、動画の「磁気が動くので合わせ直す必要がある」という問題意識は、磁北を基準にする立場から出てくるものです。真北を基準にする立場では、そもそも生じません。

本命星は「生まれたときの磁気」で決まるのか

九星気学の規則の上では、そうではありません。本命星は、生まれた年(立春を区切りとする)から、9 年で一巡する数の並びで決まります。

たとえば 1950 年の立春以降に生まれた人は五黄土星です。このサイトの計算でも同じ答えが出ます。ここまでは暦の話で、動画の説明とも一致しています。

ただ、「その星は胎内で受けた磁気のことだ」という部分は、地磁気の観測とは対応しません。理由は 2 つあります。

  • 場所の違いが反映されない。同じ年に札幌と那覇で生まれた 2 人は、本命星が同じです。けれども上の表のとおり、受けている地磁気の向きは場所で違います
  • 周期が合わない。本命星は 9 年で一巡します。地球の内部から来る地磁気は何十年もかけてゆっくり一方向に変わり、9 年ごとに同じ状態に戻ることはありません。太陽活動による外からの揺れは約 11 年の周期で、こちらも 9 年ではありません

「体質の 9 割が生まれたときに決まる」という数字にも、動画の中で出どころは示されていません。本命星は暦の規則で決まる記号であり、その記号に磁気という物理的な意味を重ねたのは、話し手の解釈と読むのが公平です。

「五黄土星の年に戦争が起きる」はどう読めばよいのか

当たっている例は実在しますが、外れた例と並べないと、傾向があるとは言えません。

このサイトの計算で引くと、第一次世界大戦が始まった 1914 年 7 月も、朝鮮戦争が始まった 1950 年 6 月も、確かに五黄土星の年です。

一方で、日中戦争が始まった 1937 年 7 月は九紫火星、第二次世界大戦が始まった 1939 年 9 月は七赤金星の年です。そもそも9 年に 1 回は五黄土星の年が来るので、どんな出来事でも、9 回に 1 回は五黄土星の年に当たります。

傾向を言うには、戦争が始まった年をすべて並べ、五黄土星の年が 9 分の 1 より目立って多いかを数える必要があります。思い出しやすい例だけが残る仕組みについては、方位や九星に統計的な裏づけはあるのか に書きました。

「40km 離れると体の電気が乱れる」という話はどうか

体が電気信号で動いていること自体は事実です。神経の信号や心電図は、実際に測れます。

けれども、「凶方位へ 40km 以上動くと体細胞の電気が乱れる」という測定は、動画の中で話し手が個人的に行ったものとして語られているだけです。測り方も結果も公開されておらず、ほかの人が同じ手順で確かめることができません。確かめられない以上、ここでは事実としても誤りとしても扱えません。

なお、方位は距離と無関係に決まるわけではありません。近すぎる移動では、地図のどこに点を置くかで方位が変わってしまいます。このサイトは 5km 未満の移動に「方位が定まらない」という注記を出しています。理由は 引越しの距離は方位の吉凶にどれくらい関係するのか にまとめました。これは位置の誤差の話で、体への影響の話ではありません。

家相の水回りと、電磁波の話

動画の前半で語られる「昔の家相が水回りを気にしたのは、汲み取り便所や井戸の衛生のためで、上下水道が整った今は守る必要がない」という見方は、話し手自身の解釈です。家相の禁忌の成り立ちについては諸説あり、ひとつに確定した話ではありません。ただ、古い決まりを当時の暮らしの条件から読み直すという姿勢は、このサイトの考え方とも近いところがあります。

後半の電磁波の話は、九星気学とは別の問題です。健康に関わる内容なので、公的機関の見解だけを置いておきます。

「浴びた電磁波が体に溜まり、水や風呂で流せる」という説明は、こうした公的な見解や研究の中には見当たりません。体調に不安がある場合は、方位や家相ではなく、医療機関に相談してください。

このサイトは地磁気をどう扱っているか

動画の要素と、このサイトの扱いを並べます。

動画の要素このサイトの扱い
磁極の移動と盤の作り直し判定は真北で行うので影響を受けません。偏角は出発地ごとに地磁気モデルから引き、注意として表示します
本命星生年月日から、立春を区切りに暦の規則で出します。磁気の値は使っていません
方位の吉凶本命星と、年盤・月盤・日盤に巡る星との関係で出します。「磁気との相性」とは呼びません
40km の閾値ありません。5km 未満は「方位が定まらない」として注記を出し、方位別の一覧からは外します
電磁波扱っていません

地磁気そのものは、Kp 指数などを参考として表示している画面があります。方位の吉凶の判定には入れていません。同じように地磁気を持ち出す説明との違いは、「量子力学で方位が効く」という説明は、このサイトの判定と何が違うのか でも整理しました。

まとめ

  1. 北の磁極は 1950 年からの 75 年で約 2,000km 動いたが、日本の偏角の変化は 1〜3 度ほど
  2. 方位盤の星の配置は暦の規則で決まり、地磁気では変わらない。変わるのは方位磁針で盤を合わせたときの向きだけ
  3. このサイトは真北で判定するので、磁極の移動の影響を受けない
  4. 本命星は 9 年で一巡する暦の記号で、生まれたときの地磁気とは周期も場所の扱いも対応しない
  5. 「五黄土星の年に戦争」は、外れた年と並べて数えないと傾向とは言えない
  6. 体の電気の実測や電磁波の話は、公開された検証が無いか、公的な見解と食い違う

自分の本命星と吉とされる方位は 本命星と吉方位を調べる で、その方位にある街の家賃の水準は 方位で街を探す で確かめられます。

注記

字幕は自動生成のもので、聞き取りの誤りを含みます。動画の要約は字幕をもとにした筆者の整理で、話し手の表現そのものではありません。動画の内容について、その効果や正しさを肯定・否定するものではなく、公開されている観測値や見解との対応を整理したものです。

偏角と磁極の値は、国際標準の地磁気モデル IGRF-14 による計算値と、国土地理院・NOAA の公表値です。偏角は年々変化します。現地での実測値とも差が出ます。

九星気学・家相は伝統的な占術上の考え方であり、効果が科学的に確認されたものではありません。医療・健康に関する助言でもありません。Cloud Palette は計算条件を整理する道具で、将来の出来事を保証するものではありません。方位や時期の判定とは別に、家賃、災害リスク、契約条件、通勤時間、医療・教育環境、家族の合意を必ず確認してください。

自分の場合はどうかを、同じ基準で確かめる

この記事で説明している判定は、サイト内の道具と同じ計算で出しています。生年月日と今住んでいる場所を一度入れれば、どの道具も同じ設定を読みます。

判定の考え方と出典、何を保証していないかはこのサイトについてに書いています。

記事の内容について、自分の場合はどうだったかを書いてください。実際に動いたあとどうだったかまで書けると、同じことで迷っている人の判断材料になります。